検索語を入力しなさい。 禁止文字です。
朝鮮の革命家は朝鮮をよく知るべきである



    わたしはきょうみなさんに、迫りくる祖国解放の大事をひかえて、祖国についての学習を強化する問題と、当面のいくつかの課題について述べようと思います。

    今、世界の情勢は革命の側に有利に急変しており、祖国解放の大事も間近に迫った問題となっています。

    世界を支配する目的で第二次世界大戦を引き起こした日本、ドイツ、イタリアなどのファシズム国家は、日が経つにつれて次第に下り坂を歩んでいます。

    米英帝国主義者のひそかな後押しを受けてきたファシズム・ドイツは、数カ月間でソ連を撃滅すると豪語し、航空機と戦車で増強された一七〇個師団の大兵力をもってソ連に対し背信的な奇襲攻撃を行いました。しかし、偉大なスターリン同志の指導のもとに、ソ連人民と赤軍は、戦争初期の不利な形勢を次第に克服し、ファシズム・ドイツが自国の総力と、占領したヨーロッパ一四カ国の兵力と人力、財力まで総動員して行った狂気じみた攻撃を単独で防いだばかりでなく、反撃に転じました。

    勇敢無比の赤軍は、今年の初めスターリングラードで、最新兵器で装備したファシズム・ドイツ軍の機械化精鋭部隊三〇個師団を撃破し、ソ独戦争の新たな転換の契機をもたらしました。スターリングラードにおいてファシズム・ドイツ軍の運命は決まったも同然です。

    いま赤軍はドイツの侵略者をドニエプル川付近まで駆逐しており、遠からずソ連領内で侵略者を完全に打ち破って偉大な勝利を勝ち取ることでしょう。

    ソ連に対するドイツの勝利を既定事実と確信し、無謀な太平洋戦争を引き起こした日本帝国主義者も、中国と東南アジア、それに太平洋上の広い戦線で敗戦を重ねています。

    日本帝国主義者は中国共産党の指導する八路軍と新四軍の反撃を受け、中国戦線で次第に窮地に追い込まれています。日本帝国主義者は中国戦線に派遣した兵力の大部分とかいらい軍を、八路軍と新四軍の「掃滅」作戦に投入しましたが、その「討伐」作戦は失敗を重ねており、華北一帯では八路軍によって解放区が次第に拡大されています。

    日本帝国主義者はハワイの真珠湾を奇襲してアメリカ太平洋艦隊に致命的な打撃を加え、アメリカが立ち直るまえに東南アジアの各地域を占領して、この地域の豊富な石油、ゴムなどの資源を略奪し、不足する戦略物資を補充して長期戦に備えようと目論みました。そうなれば、ソ連を撃滅するドイツと歩調を合わせて、米英勢力を東南アジアと太平洋上で屈服させることができるものと妄想しました。ところが、日本帝国主義者はすでに太平洋上で勢力の均衡を完全に失い、敗戦を重ねています。

    イタリアは降服し、ドイツと日本は急速に後退し始めました。

    第二次世界大戦の戦局を分析してみれば、日本帝国主義者の滅亡は不可避であり、祖国解放の大事は近づきつつあると確信することができます。



    祖国解放の大事が迫りつつあるこんにち、われわれに提起されている重要な課題の一つは、祖国についての学習に努めることです。

    祖国と人民をよく知ることなしには、愛国者、共産主義者としての義務をりっぱに果たし、朝鮮革命を成功裏に遂行することはできません。

    われわれが責任をもって朝鮮革命を成し遂げるためには、祖国の歴史や地理をよく知らねばならず、輝かしい文化の伝統をよく知らなければなりません。そうしてこそ、祖国を熱烈に愛し、祖国と人民のために献身的に奉仕しようという決意を固めることができ、また朝鮮人民をその気質に合わせて教育し、革命闘争に積極的に奮い立たせることができるのです。

    またわれわれ共産主義者は祖国の歴史と地理、経済と文化を十分に知ってこそ、マルクス・レーニン主義の原則を朝鮮の現実に即して創造的に適用することができ、朝鮮革命に対する自主的立場と独自の定見をもつこともできるのです。

    また、日本帝国主義植民地支配者の民族抹殺政策から朝鮮民族のすぐれた伝統と民族の財宝を守り通すためにも、祖国の歴史や地理、文化をよく知ることが重要なのです。

    いま日本帝国主義者は戦争での度重なる惨敗を挽回しようと、朝鮮人民に対する苛酷な植民地的略奪を強化しているばかりでなく、朝鮮を地図のうえから永久に抹殺するため、「同祖同根」「内鮮一体」を唱え、むきだしの民族同化政策を実施しています。日本帝国主義植民地支配者は、朝鮮の悠久な輝かしい歴史と文化の伝統を歪曲、抹殺し、「皇国臣民」の「武士道」を大々的に広めながら、民族的なものをすべて一掃してしまおうとしています。彼らは朝鮮が二度と息を吹き返せないようにしようと、朝鮮の言葉と文字の使用を禁じたばかりでなく、果ては朝鮮人の姓名までも使わせず、日本式に「牛一郎」「馬三郎」といった類の創氏改名を強要しています。

    日本帝国主義者がわが民族の歴史と文化を抹殺し、朝鮮を永久に無きものにしてしまおうと狂奔している現在、朝鮮の真の愛国者であるわれわれが祖国についてよく学ぶことは、もっとも重要な革命課題の一つであると言わざるを得ません。

    われわれはやがて解放される祖国をりっぱに建設するためにも、いまから祖国についての学習に努めなければなりません。

    朝鮮人民革命軍の指揮官と兵士は、すべてが日本帝国主義者に踏みにじられた祖国を取り戻し、解放された祖国に幸せな新しい社会を建設しようという、燃えるような願望を抱いて革命に身を投じた闘士たちです。われわれは日本帝国主義侵略軍との困難な戦闘を繰り広げる状況下にあってもマルクス・レーニン主義の原理と、朝鮮革命の路線と戦略戦術についての学習を強化することに重点をおき、人民革命軍の指揮官と兵士を革命的世界観で武装させてきました。

    祖国解放の大事が近づいているこんにちの情勢は、マルクス・レーニン主義についての学習とともに、解放された祖国での経済、文化の建設に必要な知識を系統的に身につけることを、緊迫に求めています。

    朝鮮の共産主義者として、朝鮮の歴史と文化、自然と地理、人民の美しい道徳と風習を知らずに、どうして朝鮮の革命をりっぱに遂行することができるでしょうか。

    朝鮮の共産主義者は、朝鮮人民の五〇〇〇年の悠久の歴史と燦然たる文化、祖国の山河と資源をよく知り、それを誇りとし、熱烈に愛さなければならず、麗しい祖国の大地に人民の楽園である共産主義社会を建設するという、雄大な理想と強い決意をもたなければなりません。

    まず、朝鮮の歴史についてよく学習することが重要です。

    歴史を学習しようというのは、王室や封建支配者の歴史を知ろうというのではなく、朝鮮人民の闘争の歴史、創造の歴史を知ろうということです。

    人民の闘争と創造の歴史をよく知らなければ、祖国を熱烈に愛する感情も生まれず、民族的誇りと革命的自負をもつことができません。

    朝鮮人民は昔から封建支配者の虐政と侵略者に対して屈することなくたたかい、創造的労働と知恵によって科学と文化を発展させ、東方の一角で朝鮮の名をとどろかせました。

    朝鮮人民は勇敢で英知に富む人民であり、勤労を好み、平和を愛する人民です。とくに朝鮮人民は侵略者とは屈することなくたたかい、民族の尊厳を守り抜く愛国心の強い民族です。

    朝鮮にたいする侵略者の侵攻は、古代からこんにちに至るまで間断なく続き、とくに一九世紀末からはいっそう強化されました。

    朝鮮人民は昔から侵略者が攻めてくるたびに、正義の祖国防衛戦にこぞって立ち上がり、侵略者を撃退し、祖国を英雄的に防衛しながら五〇〇〇年の誇るべき歴史を創造してきました。

    こうして朝鮮人民の歴史は古代と中世においては、北からの隋と唐の侵略、それに契丹、元の侵略を退け、南からの日本の侵略を牽制してきた反侵略、祖国防衛の歴史であり、近代に至っては日本帝国主義者とアメリカ帝国主義者の侵略に抗する反帝闘争の歴史、民族解放闘争の歴史でした。

    侵略者は歴史的に絶え間なく朝鮮に侵攻してきましたが、一度たりとも朝鮮人民の愛国的忠誠心と勇敢さを挫くことはできず、朝鮮人民を屈服させることもできませんでした。

    高句麗の人は英知に富み、勇敢であっただけでなく、祖国防衛のために忠誠を尽くすことをもっとも栄誉あることと考えていました。それで彼らは、武芸を学ぶことを男子の義務とし、幼いときから早駆けや馬術、弓術、剣術などを学び、民間娯楽や競技もすべて武芸を基本にしていました。卑賎な身分の温達が狩猟競技で優勝して登用され、祖国防衛で大きな手柄を立てたという話がありますが、この話でもよく分かるように高句麗では人を評価するうえでも、武芸にたけ、知恵と勇気があるかを重視しました。

    高句麗の人は幼いときから祖国を愛する精神で教育され、武芸を学び、勇気を培ったため高い民族的誇りと勇敢な気性を身につけるようになり、アジア大陸でもっとも強大な国であった隋の三〇〇万大軍の侵入を撃破して、祖国の栄誉と民族の尊厳を守り通すことができました。

    朝鮮の南部に位置していた新羅や百済の人たちも威勢をふるい、外敵が侵犯できないように祖国を揺るぎなく守りました。

    三国時代に高句麗、新羅、百済の三国が団結して外敵を退けたなら、祖国はいっそう発展したことでしょう。

    高麗の人は数十万の契丹軍が押し寄せてきたとき、名将姜邯賛将軍の指揮のもとに、鴨緑江と亀城で敵にせん滅的な打撃を与え、祖国を守り抜きました。

    李朝時代になってからも、朝鮮人民は外敵に抗して勇敢にたたかいました。しかし封建支配者たちは国の防備を固め、軍人を訓練して外敵の侵略に対処するのではなく、ただ泰平をうたい、安逸な生活に憂き身をやつしていました。そのような機会に乗じて凶悪な日本のさむらいたちは、壬辰年(一五九二年)に大軍を起こして押し寄せてきました。このとき、日ごろから防衛の備えがなく、心が緩んでいた封建支配者たちは、日本侵略軍の侵攻を防ぎきれなくなるや王を連れて義州に逃亡し、祖国と人民を敵軍のじゅうりんのもとにさらしました。

    だが、英知あり勇敢な朝鮮人民は、 南海と晋州、延安と平壌など至るところで侵略者と英雄的にたたかいました。李舜臣将軍は、劣勢だった水軍兵力で全羅道の水道を守って日本侵略者の渡海を遮り、閑山島で日本の水軍を全滅させ、大勝を博しました。郭再祐をはじめとする愛国者たちは義兵を起こし、至るところで日本侵略者を撃滅しました。農民や下級官吏、さらには山中に隠遁していた僧侶たちも義兵闘争を起こし、婦人たちも至るところで敵とたたかいました。人民は残忍このうえない日本侵略者と七年間も死を賭してたたかい、ついに彼らを国土から追い出し、祖国の栄誉と尊厳を守り通しました。

    一九世紀の中葉に至り、朝鮮が欧米資本主義列強の侵略を受けたときも、無能で頑迷な封建支配者は祖国と人民をかえりみず、一個人の権勢と享楽に目がくらんで党派争いにふけっていましたが、人民は屈することなく帝国主義侵略者とのたたかいを繰り広げました。

    一八六六年、平壌の人民は、大同江に侵入してきたアメリカの海賊船シャーマン号を水中深く葬り、人民と軍人はフランスの侵略船を撃退しました。

    一八九四年には、全羅道の農民が封建支配者の悪政に抗して農民戦争を起こしました。このときも農民をはじめ愛国的軍人、儒者たちは、支配者とたたかったばかりでなく、国内の混乱に乗じて侵入してきた日本侵略軍を迎え打ち、血みどろの闘争を展開しました。

    このように朝鮮人民は五〇〇〇年という長い歳月にわたり、侵略者と屈することなくたたかって祖国を守り抜き、熱烈な祖国愛と勇敢さ、不屈の気概を全世界に示したのです。

    しかし、封建支配者たちは、外部勢力を排撃し自らの力を養って国を保全するのではなく、それぞれ外部勢力にへつらい屈従し、彼らを後ろ盾に事大主義に走り、党派争いに没頭し、ついには日本帝国主義侵略者に祖国を売り渡すという永久に許せない売国的・反民族的行為を働きました。

    朝鮮人民は一九一○年に祖国が日本帝国主義者に占領された後にも、義兵運動、独立軍運動、労働者、農民、青年学生の反日運動などを絶えず繰り広げ、一九二○年代の末に至っては日本帝国主義とその手先に反対する暴力闘争を展開しました。

    とくに真の愛国者であるわれわれ共産主義者は、一九三○年代になって英雄的な抗日武装闘争を展開して朝鮮民族解放闘争をより高い段階に発展させ、一〇余年にわたって仇敵日本帝国主義に甚大な政治的・軍事的打撃を与え、彼らを滅亡へと追い込んでいます。

    英知に富む勇敢な朝鮮人民は、永久に屈することなく、朝鮮の魂は永遠に生きつづけるでしょう。百戦百勝のマルクス・レーニン主義の革命思想によって導かれる朝鮮人民の反日民族解放闘争は必ず勝利し、祖国は解放されるでしょう。朝鮮の気概を全世界に示す日も遠くありません。

    われわれは朝鮮人民の輝かしい闘争の歴史を深く学習して、熱烈な祖国愛と民族的誇り、敵に対する燃えるような憎しみを培わなければなりません。

    朝鮮人民は科学や文化の発展においても輝かしい伝統を創造した、才能と英知を備えた文化的な民族です。

    われわれの祖先は古代から輝かしい文化を創造し、東方文化の開花をもたらしました。

    朝鮮では遠い昔から鉄を生産し、三国時代には鉄材で生活用具をつくって広く利用し、また金、銀、銅などの細工術も高度に発達しました。

    われわれの祖先はすでに七世紀の前半期に、世界的に有名な天文台である瞻星台を建設し 、気象学と天文学の発展に大きく寄与しました。

    三国時代には建築術も発展しました。七世紀に建設されたという皇竜寺の九層の塔、千数百年を経たこんにちまでも原形のまま保存されている仏国寺の多宝塔と釈迦塔は、当時の建築術の発達ぶりを如実に示しています。また数千年を経ても変色していない高句麗古墳の壁画や新羅の石窟庵の彫刻像などは、朝鮮の古代美術の水準の高さを物語っています。

    朝鮮では古代から音楽や舞踊も発展しました。われわれの祖先は、伽倻琴、コムンゴ(玄琴)など非常にすぐれた民族楽器をつくって音楽を発展させ、優雅な律動の民族舞踊を発展させました。

    朝鮮の発達した文化と冶金術、製陶技法などは、すでに三国時代から遠く外国にまで伝わって名声を博しました。当時わが国の工匠、建築家、画家、儒者たちは日本に渡って文字や技術を普及し、文化の発展に大きな影響を与えました。

    高麗の人は世界ではじめての金属活字を発明して出版事業を大いに発展させ、また色彩や紋様、器形がひときわすぐれ、世界の人々から宝物のように大事にされている高麗磁器をつくって、わが国の名声を全世界にとどろかせました。

    すでに三国時代から吏読文字を使用してきた朝鮮人民は、一四四四年にもっとも発達した文字である訓民正音をつくって文化の発展に大きく寄与しました。

    封建支配者たちが事大主義に陥って儒教の経典をそらんじ、風月の遊びに歳月を送っていたときにも、人民はすぐれた才能を発揮して世界に誇るべき芸術品をつくり出し、また人民と技術者は世界最初の鉄甲船である亀甲船のような威力ある独特な軍船を発明しました。

    このようないくつかの事実によっても、朝鮮人民がいかに才能にたけ、知恵のある人民であり、人類の科学・文化の発展にいかに大きな貢献をした民族であるかを十分知ることができます。

    われわれ共産主義者は祖先の築き上げた科学・文化の伝統についても詳しく知り、それを大切にしなければなりません。そうしてこそ、解放された祖国で真に人民に奉仕し、新しい社会の建設に貢献する科学を発展させることができ、民主主義的で社会主義的な民族文化を建設することもできるのです。新しい社会主義的民族文化は決して無からつくられるのではなく、祖先伝来の民族文化のすぐれた伝統を批判的に継承し発展させる過程で建設されるのです。われわれは将来、新しい社会主義的民族文化を建設するためにも、民族文化のすぐれた伝統をよく知り、それを批判的に分析し評価できるようにならなければなりません。

    朝鮮民族は五〇〇〇年の悠久な歴史をもつ単一民族であり、昔から侵略者と歴代の反動支配者に抵抗して頑強にたたかってきた勇敢で覇気のある民族であり、人類の科学と文化の発展に大きく寄与した才知にたけた民族です。

    祖国と人民を誰よりも熱烈に愛するわれわれ共産主義者は、朝鮮人民としてのいっそう高い民族的自尊心と誇りをもつべきであり、祖国の解放と独立をめざして一〇余年もの間、血みどろの闘争を展開してきた闘士としての革命的自負と誇りをもつべきです。民族的自尊心と革命的自負がなければ、あわれで卑屈な民族虚無主義者、事大主義者に転落します。事大主義と民族虚無主義は結局、祖国と民族を裏切る道へ走る亡国の思想です。われわれは祖国と民族を誰よりも熱烈に愛する共産主義者なのですから、自民族と自国の歴史を無視する民族虚無主義と事大主義に反対して断固たたかわなければなりません。

    われわれに、祖国の尊厳を守り民族を愛する熱烈な愛国心がなかったならば、真の愛国主義者になることも、自国の革命に忠実な真の共産主義者になることもできなかったでしょう。われわれは祖国と民族を愛し貴ぶ愛国心が人一倍強かったため、日本帝国主義に踏みにじられた祖国と人民を救いだす闘争の道に身を投じたのであり、こんにちマルクス・レーニン主義の革命的世界観で武装し、長期にわたる革命闘争で鍛えられたりっぱな共産主義者になることができたのです。

    われわれは祖国の歴史だけでなく、地理についてもよく知る必要があります。

    われわれが革命を行う最終目的は、富強な祖国を建設し、人民に豊かで幸福な暮らしをさせることにあります。すなわち、朝鮮に社会主義・共産主義の楽園を建設しようというのです。社会主義・共産主義の楽園は誰が建設するのでしょうか。それも、われわれ自身が建設しなければならないのです。われわれは日本帝国主義を打倒し、祖国の大地に発達した工業と農業をもつソ連のような社会主義国家を建設しなければなりません。そのためには、朝鮮の豊富な資源を開発し、工業や農業、水産業など、各方面にわたって経済を復興、発展させなければなりません。

    朝鮮は面積、人口、資源のいずれからみても、豊かで強力な自主独立国家を建設できる、あらゆる条件を備えています。

    アジア大陸の東部に位置している朝鮮は、北は大陸につながっており、東西南の三面は海に囲まれています。二二万余平方キロメートルの面積と二三〇〇万の人口をもつ朝鮮はそれほど大きい国ではありませんが、決して小さい国でもありません。いま世界の強大国、文明国として知られている国々のなかには、朝鮮よりはるかに小さく、人口も少ない国が多く、世界で朝鮮に匹敵するほどの豊富な天然資源をもつ国もまたまれです。

    朝鮮には、鉄鉱石をはじめ数百種の貴重な有用鉱物が大量に埋蔵されています。まさに朝鮮の地下は金銀宝玉の宝庫であると言えます。

    北部白茂高原一帯には磁鉄鉱が無尽蔵に埋蔵されており、西部平原一帯には良質の褐鉄鉱が多く埋蔵されています。鉄鉱石の埋蔵量は現在、知られているものだけでも、実に数十億トンに達しており、今後さらに多くの鉄鉱石が発見されるでしょう。

    北部地帯には高カロリーの有煙炭が豊富に埋蔵されており、平安南道一帯と中部の太白山脈には無煙炭が無尽蔵に埋蔵されています。石炭は代を継いで掘り出しても掘り出しきれないほど無尽蔵です。

    また朝鮮には金、銀、銅や鉛、亜鉛、黒鉛、それにモリブデン、マグネサイトなど貴重な金属や鉱物が世界の人々から羨ましがられるほど大量に埋蔵されており、石灰石は至るところにあります。

    朝鮮には電力資源、とくに水力資源も豊かです。国の屋根と呼ばれる蓋馬高原をはじめ北部地帯には、数百万kWの発電が可能な水力資源があります。蓋馬高原、赴戦高原から東海側に水を落とせば落差が大きいので、発電所の建設に有利です。ここにはちょうど虚川江、長津江、赴戦江発電所があり、東洋でもっとも大きい七〇万kWの発電能力をもつ水豊発電所も、ほかならぬ北部の水力資源を開発、利用したものです。将来、水力資源を有効に利用するならば、少なくとも数百万kW以上の発電能力をつくり出すことができるでしょう。こうなれば朝鮮は電力の豊かな国になるでしょう。

    朝鮮は世界でもっとも良質の米を産する国です。南部には毎年数百万石もの優良な米を生産する金堤の萬頃平野と嶺南平野、京畿平野があり、北部には延白平野、ナムリ平野、富羅平野などがあります。一〇〇余万へクタールの水田からは、毎年一五〇〇万石以上の米が生産されます。将来われわれが人民の国を建設した後、西海岸の干潟を干拓すれば、数十万へクタールの沃土を得ることができ、ここからだけでも数百万石の米を生産することができるでしょう。朝鮮の丘陵では果物がよくできます。黄州、大邱、安辺、北青などのりんご、南海岸地方のみかんや柿、海州、徳原の梨、平壌、甑山の甘栗など、朝鮮の果物は有名です。

    朝鮮は三面が海に囲まれている国であり、水産資源も豊富です。世界三大漁場の一つと隣接している東海は、魚族が多種で漁獲高も多いところです。春にはさば、かたくちいわしの群が南から北上し、にしんの群が北から南下します。また夏にはいわしの群が北上し、冬には朝鮮の名産物であるめんたいの大群が押し寄せてきます。これらの回遊魚類だけを獲っても、漁獲高は数百万トンに達するでしょう。東海にはまた、ます、ぶりなどの高級魚類が多く、南海と西海にもやはり水産資源が豊富です。

    朝鮮はじつに豊かな資源に恵まれた国です。しかし朝鮮人民は、これらの豊富な資源の恩恵をこうむっていません。いま日本帝国主義者は、中国での侵略戦争と太平洋戦争に必要な膨大な軍需物資を補給するため、毎年八〇億   の電力、三〇〇万トン以上の鉄鉱石、五〇〇万トン以上の石炭、八〇万トン以上のセメントを略奪しており、生産量の三分の二を越す一〇〇〇万石以上の米と一〇余万頭の牛、それに東海、西海、南海で産する水産物を日本に運び去っています。日本帝国主義の強盗さながらの略奪によって、国の資源は急激に枯渇しつつあります。国の豊富な資源が真に人民の福祉に利用されるようにするためには、日本帝国主義を打倒し、労働者、農民が主人となる人民の国を打ち立てなければなりません。われわれが人民の国を立てた後、これらの豊富な資源を利用して電力、石炭、金属、化学などの工業を発展させ、農業と水産業などを発展させるならば、わが国は工業が発達し、豊かで文化的で、富強な国となり、朝鮮人民は数千年来の宿願通り、白米のご飯と肉汁の食事をとり、裕福な暮らしができるようになるでしょう。そのときになれば、今の二三〇〇万の人口ではなく、一億の人口でも豊かで幸せな暮らしができるようになるでしょう。

    朝鮮は資源が豊富であるばかりでなく、景色も美しい国です。どこへ行っても高い山や丘陵があり、清い流れがあって絶景をなしています。北辺に高くそびえたつ白頭山から金剛山、太白山を経て済州島の漢拏山に至るまで、連々とつらなる美しい山並み、東海、西海、南海に注ぐ鴨緑江、豆満江、大同江、漢江、洛東江、錦江などにうるおされる果てしない平野、さらに海岸線にそって数百里に織り成す美しい風景、文字通り朝鮮は三千里錦の山河です。また朝鮮には朱乙、陽徳をはじめ各地に温泉があり、三防、江西をはじめ至るところに鉱泉が湧き出ています。

    この美しい山並みと清い流れ、秀麗な景色がすべて人民の休息と健康のために奉仕するようになれば、朝鮮はどんなに住みよい楽園となるでしょう。われわれは一日も早く祖国を解放し、景勝地ごとに休養所を建てて勤労者に休息を楽しませ、水清く空気の澄んだところに療養所を建てて人民の健康増進をはかるべきです。

    世界に国は多くても、わが祖国のように麗しく住みよい国はまれです。山河麗しく、土地は肥え、五穀百果たわわに実り、地下は金銀宝玉に満ちている国、英知に富み、勇敢で文化的な人民の住む国、これはなんと誇らしく貴い祖国でありましょう!

    しかし現在、朝鮮人民は世界でもっとも貧しい暮らしをしており、五〇〇〇年の悠久な伝統をもつ朝鮮の燦然たる民族文化は光を失っています。朝鮮人民には自分でつくった米さえ思い通り食べる権利がなく、自分の国、自分の領土を自由に闊歩する権利さえありません。数多くの同胞、兄弟姉妹が飢餓線上にさ迷っています。仇敵日本帝国主義を打倒し、労働者、農民が主人となる人民の国家を打ち立てることなくしては、麗しい錦の山河もわれわれに喜びを与えることはできず、無尽蔵な金銀財宝も人民に幸福な暮らしをもたらすことはできません。

    朝鮮の革命家であるわれわれ共産主義者は、日本帝国主義者を駆逐して祖国解放の長年の念願を必ず実現し、全世界の人々から羨ましがられるように、三千里全国土のうえに共産主義の楽園を必ず建設しなければなりません。われわれはこの歴史的偉業の達成をめざして一〇余年間ひとすじにたたかってきたのであり、今後もたたかい続けなければなりません。



    いま日本帝国主義者は第二次世界大戦で守勢に陥り、敗北の日が近づくにつれていっそう狂いたっています。

    朝鮮人民に対する日本帝国主義の弾圧と略奪は、太平洋戦争開始以後絶頂に達しています。日本帝国主義は朝鮮に三個師団以上の兵力を常時駐屯させるとともに、警察、憲兵などのファッショ的弾圧機構を大々的に増強して、朝鮮人民に野蛮な弾圧を加えており、少しでも疑わしいと見なせば、「不逞鮮人」というレッテルをはりつけてなんの根拠もなしに逮捕、拘禁しています。

    さらに日本帝国主義の警察は、年寄りが「皇国臣民の誓詞」を日本語で暗唱できないと「非国民」だと言って殴打し、幼い子供まで、朝鮮語を使ったという「罪」で厳罰に処しています。

    日本帝国主義者は朝鮮民族のあらゆるものを抹殺するために狂奔しているだけでなく、「戦争完遂」という名目のもとに、労働力と物資を無制限に略奪しています。日本帝国主義者は、数多くの朝鮮青年を徴兵として強制的に戦場に駆り立てては弾よけにしており、徴用の名のもとに労働能力のあるほとんどすべての青壮年を駆り出しては、日本の炭鉱や軍事施設の工事場で無報酬の強制労働を強いています。

    徴用にとられない人たちは、「報国隊」という名で強制動員され、無報酬で際限なく酷使されており、幼い児童・生徒たちも「勤労奉仕」という名目で常時力に余る労働を強いられています。

    そればかりか、日本帝国主義者は増大する軍事的需要をまかなうために経済的略奪をいつにもまして強めており、果ては真鍮製の食器やさじ、はしまでも奪っています。

    朝鮮人民は人民革命軍の軍事・政治活動に限りなく励まされ、日本帝国主義者の弾圧が絶頂に達した困難な状況のもとでも、反日闘争を力強く繰り広げています。ソウル、平壌、清津、興南、釜山、その他重要産業都市の工場や重要建設現場、港湾、軍需工場などで、労働者はストライキやサボタージュ、集団逃亡などさまざまな形態の闘争を続けています。農民は強制供出を拒否し、殺人的な戦時負担や強制動員に反対して屈することなくたたかっています。教員や学生の思想事件や同盟休校事件が頻発しており、青壮年は徴兵や徴用、強制労働に反対してたたかっています。とくに大衆のあいだでは抗日武装闘争に呼応し、武器を取り立ち上がってたたかおうとする気運が日増しに高まっており、多くの青年学生が朝鮮人民革命軍と連係を結ぼうと努力しています。

    朝鮮人民革命軍の小部隊は、日本帝国主義者が数十万の兵力を常時動員して国境一帯に厳しい警戒陣を敷いている困難な状況にあっても、国内深くにまで進出して活発に活動し、大きな成果を収めており、主力部隊は祖国解放の大事を迎えるべく政治的・軍事的準備を円滑に整えています。

    日本帝国主義者は滅亡を前にしてあがいていますが、内外の情勢は革命の側に断然有利に変わりつつあります。

    しかし内外の革命情勢がいかに熟したにしても、朝鮮革命の指導勢力である朝鮮共産主義者が主人となって、大衆を立ち上がらせなければ、革命の決定的な勝利を勝ち取ることはできません。

    われわれはすべての力、すべての才能を傾けて、祖国の解放の大事を一日も早く成し遂げるためにたたかわなければなりません。

    祖国解放の大事を主動的に迎えるためには、朝鮮人民革命軍の軍事・政治活動をさらに強化して、自らの革命勢力をさらに固め、全民族を日本帝国主義者との最後の決戦に総動員できるよう、備えさせなければなりません。

    そのためには、第一に、全国的な規模で反日民族統一戦線運動をいっそう強化し、国内のすべての愛国勢力を結集して、強盗日本帝国主義との決戦を繰り広げることのできる強固な大衆的基盤を築き上げなければなりません。

    一九三六年五月に祖国光復会が創立されて以来、わが国における反日民族統一戦線運動は画期的な発展を遂げました。

    鴨緑江、豆満江沿岸一帯に祖国光復会の下部組織が広範につくられ、その組織網は国内深くにまで拡大され、各階層の人民が反日民族統一戦線に結集するようになりました。

    日本帝国主義の弾圧がきわめて厳しかったにもかかわらず、一九三九年以後には白頭山東北部や国内の各地に反日民族統一戦線の下部組織が拡大されています。

    しかし、反日民族統一戦線には、まだ全国のすべての反日愛国勢力が十分結集されているとは言えません。日本帝国主義に反対するすべての勢力を結集しないならば、やがて国内で展開される日本帝国主義との決戦で、確固とした大衆的基盤をもてなくなるでしょう。それゆえ、全国的規模で反日民族統一戦線組織を拡大し、団結できるすべての勢力を結集することは、最後の決戦の帰趨を決する重要な鍵となります。われわれは有能な政治工作員をさらに多く国内に派遣して、各地に反日民族統一戦線の下部組織を結成し、労働者、農民を中核として青年学生、知識人、良心的な民族資本家、愛国的な宗教家など広範な反日勢力を結集する組織・政治活動をいっそう積極的に展開しなければなりません。

    いま国内では、反日民族統一戦線を強化することのできる客観的な条件がいつにもまして熟成しています。日本帝国主義者の断末魔的な弾圧と略奪は、政見の違い、貧富の差、知識の程度の差、信仰の違いにかかわりなく、すべての朝鮮人をこれ以上耐えられない限界に追い込んでいます。労働者は徴用にとられるか、でなければ軍需工場で囚人と変わらぬ強制労働に駆り出され酷使されています。彼らは満州大豆の豆かす一〇〇グラムの粗食で、際限のない苦役を強いられています。

    賃金や労働保護については、口にすらできない状態です。

    農民はさらに惨めな状態におかれています。荒れはてた農土で、しかも青壮年の労力もなしに農作業をしているので、以前に比べて著しく収穫量が減っており、その穀物さえ大部分を日本帝国主義者が奪い去り、地主や官吏が略奪していくので、農民は口を糊することさえ困難な状態にあります。

    日本帝国主義者がひかえめに発表した統計によっても、春の端境期に糧食の絶える農家は五○%以上だとのことです。しかし実際には、すべての農民が冬のうちは雪の下からくずの根などを掘って生きのび、春には草の根を食べて生きていくというありさまです。そのうえまた、彼らは「国防献金」「兵器献納」「福引債券」などの形で、あらゆる戦争負担を農民に背負わせ、文字通りやせ細った朝鮮農村を骨の髄までしゃぶりつくしているありさまです。

    学生、知識人の境遇もその極に達しています。戦争は学園までも閉鎖させました。いくらもない大学、専門学校の学生は「学徒兵」にとられ、中学校は軍事訓練場と化しています。小学校の児童までも軍事訓練をしなくてはならず、勉強する日よりも強制的な夫役に駆り出される日のほうが多くなっています。

    こんにち、労働者、農民をはじめ各階層の朝鮮人民の境遇は、まったく最悪の状態におかれています。そのため、朝鮮人の誰もが「この呪うべき世の中はいつになったら滅びるのか」と痛嘆しており、朝鮮人民革命軍が一日も早く日本帝国主義を撃滅し、朝鮮民族を救い出すことを渇望しています。

    このような状況下で、われわれが反日民族統一戦線運動を積極的に展開するなら、ごく少数の親日派、民族反逆者を除く広範な各階層の大衆は、こぞって闘争に立ち上がるようになるでしょう。ですからわれわれは、敵の弾圧と虐殺がはなはだしくなり、警戒網が厳しく張りめぐらされている状況のなかで、巧みな政治活動方法と地下工作方法を身につけ、人民大衆を最後の決戦に決起させるために奮闘しなければなりません。

    第二に、国内に強力な組織的拠点としての革命基地を設けなければなりません。強盗日本帝国主義との最後の決戦を繰り広げるためには、朝鮮人民革命軍の主力部隊がよりどころとしてたたかえる強固な根拠地をもたなければなりません。こうした根拠地なしには、国内の青年で朝鮮人民革命軍の隊伍を早急に補充し、彼らを短期間内に訓練させることはできず、敵に決定的な打撃を加えることもできません。

    国内に革命根拠地を設けることは、当面の情勢と敵味方間の力関係からして重要な問題として提起されます。今後、日本帝国主義者はますます孤立し、その勢力をいっそう分散せざるを得なくなり、したがって国内にも多くのすきが生ずるようになるでしょう。われわれは、このすきを利用して国内各地の山中に革命根拠地を設け、それを拠点にして武装部隊を拡大、強化し、大衆的基盤を築いていかなければなりません。

    革命根拠地を設けるための大衆的基盤もきわめて良好です。いま国内には、われわれがすでに組織した地下革命組織だけでなく、日本帝国主義の強制徴兵や徴用を忌避して山中に身を潜めている青年が多く、また各地方で青年たちが秘密組織をつくって武器を手に入れ、革命軍が進撃してくればそれに呼応する態勢を整えています。彼らのなかには、すでに朝鮮人民革命軍と連係を保っているか、または連係をもとうと努力し、死線を越えてわれわれの部隊に訪ねてくる青年も少なくありません。こうした状況下で、狼林山脈、太白山脈など国内の深い山中にある革命根拠地をしっかり固めて朝鮮青年に呼びかけるならば、多くの青年が集まってくるでしょう。すでに一〇余年にわたる抗日武装闘争を通じて育成された人たちを根幹とし集まってきた青年たちでわれわれの武装部隊を急速に拡大し訓練して、日本帝国主義との決戦に臨むならば、十分われわれ自身の力で日本帝国主義を祖国の地から駆逐し、祖国解放の偉業を成し遂げることができるでしょう。

    われわれは、機が熟せば直ちに主力部隊が国内に進出できるよう準備を整えなければなりません。主力部隊は国内に進出して、咸鏡北道、咸鏡南道、平安北道、平安南道、江原道、黄海道などの山中を地区別に占め、すでに組織されている各地方の指導的中核との連係のもとに、徴兵、徴用を忌避して山中でわれわれの部隊を探している青年をはじめ広範な愛国青年を部隊に受け入れ、彼らを武装させ訓練して、決戦に備えなければなりません。

    われわれはこのために、あらかじめ地区別の主力部隊や予備部隊を編成しておくべきであり、必要な兵器も整えなければなりません。

    われわれには有事の際、国内の革命的人民を武装させるのに必要な条件が十分備わっています。われわれには、これまで敵から奪い取って蓄えた相当な量の武器があり、やがて決戦のときに至れば、敵の武器を奪ってより多くの人を武装させる十分な可能性があります。ですから、急激に拡大する隊伍を武装させることは、この一〇余年にわたる実戦の経験が示しているように、十分可能なことです。

    他方、一部の部隊で東満州と南満州に新たな遊撃根拠地を設けて武装闘争をいっそう拡大し、関東軍の兵力をけん制しながら国内でたたかう主力部隊を支援すべきです。

    われわれはすでに、自力で祖国を解放することのできる指導的中核をもっています。われわれには一〇余年にわたる苛烈な戦闘とさまざまな状況のもとで軍事・政治活動を繰り広げてきた豊富な経験と、戦闘技術を身につけた指揮官があり、人民と一心同体となって大衆を導くすぐれた指導芸術と革命的活動方法を身につけた政治活動家が育成されています。

    この革命的指導中核は、まさに朝鮮革命の貴重な宝です。いったん有事の際、この指導的中核を根幹にして全民族を一つの戦闘部隊に編成し、日本帝国主義との決戦に臨むならば、われわれは十分、強盗日本帝国主義を打倒することができます。

    第三に、朝鮮人民革命軍のすべての指揮官と兵士は、祖国解放の大事を迎えるための政治的・軍事的準備をいっそうしっかりと整えなければなりません。

    革命闘争の勝敗は、それに参加する人々の政治的・思想的準備に大きくかかっており、何よりも闘争を指導する指揮メンバーの政治理論水準と指導芸術に大きくかかっています。いかに情勢が有利で、条件が熟しているとしても、闘争を指導する指揮メンバーが正確な戦略戦術を身につけておらず、敵味方間の力関係に対する正しい検討に基づいた科学的な指導をしなければ、大衆を勝利に導くことはできません。それゆえ、祖国解放の大事を首尾よく迎えるためには、革命の指揮メンバーであるわれわれが、マルクス・レーニン主義の革命理論で武装し、正しい戦略戦術と洗練された指導芸術を身につけることがなによりも重要です。これは祖国解放のための決戦を勝利に導くためにばかりでなく、日本帝国主義を打倒して祖国を解放した後、新しい祖国を建設するためにも緊切に提起される問題です。

    われわれの任務は、祖国を解放することで終わるのではありません。われわれは解放された祖国に人民の国家を打ち立て、富強な自主独立国家を建設しなければなりません。われわれが革命理論と国家建設の実践的問題を知らずには、この崇高な任務を円滑に成し遂げることはできないでしょう。政治理論水準を高めるためには、朝鮮人民革命軍の成員たちがいつにもまして学習を強化しなければなりません。

    すべての指揮官と兵士は、何よりもまず朝鮮革命の戦略的・戦術的方針をいっそう深く学び、祖国の歴史と地理をはじめ朝鮮の実情を深く研究しなければなりません。

    朝鮮人民革命軍のすべての指揮官と兵士はまた、軍事技術水準を一段と向上させなければなりません。

    朝鮮人民革命軍の指揮官と兵士はすべて、一〇余年の苦難にみちた遊撃戦争の烈火のなかを突き抜けて豊かな闘争経験を身につけたわれわれの宝です。しかし、やがて展開される強盗日本帝国主義との決戦は、遊撃戦だけでは不可能です。われわれは近代的な軍事技術で装備した強大な日本軍と正面切っての決戦を挑まなければなりません。したがって、われわれが攻撃作戦、上陸作戦、空挺作戦など近代的なあらゆる戦法を巧みに適用できなければ、日本帝国主義侵略軍と上手にたたかうことはできません。それゆえ、われわれはすでに身につけた豊かな遊撃戦の経験と近代的な軍事技術を組み合わせ、巧みな遊撃戦法と現代戦法を結合して、敵を戦略的、戦術的に圧倒し掃滅しなければなりません。

    そのためには、正規軍の攻撃および防御戦術を研究してこれを十分に習得するとともに、上陸訓練、空挺訓練など現代戦法に習熟するよう、戦術訓練を強化しなければなりません。

    正規の大学でも数年間かけなければ習得できない政治理論と、正規の軍官学校での数年分の軍事技術学習課題に匹敵する軍事学習を、短時日のうちに終えるということは、もちろん容易なことではありません。

    しかし、われわれは単に勉強に打ち込む学生なのではなく、血みどろの革命闘争を行っている革命闘士なのです。われわれが学習をするのは、単に資質向上のための個人的問題なのではなく、祖国の解放と祖国の将来にかかわる責任ある問題であり、愛する祖国と革命がわれわれに課した戦闘的任務なのです。革命家は、革命の要求であればいかなることでも成し遂げる強靭な意志の持ち主です。われわれは革命の要求であれば、いかに困難な環境のなかにあっても自力で立ち上がる高度の革命精神を発揮し、あらゆる難関と試練を乗り越え、勝利に勝利を重ねて前進してきた革命闘士です。

    現在の指揮官たちは、今後何等級も高い地位で数千数万の将兵を指揮する決心を固めるべきであり、現在の兵士たちは、今後数百数千名を指揮する政治・軍事幹部となることを覚悟しなければなりません。

    みなさんは、祖国の解放をめざす正義のたたかいで犠牲になった戦友たちがあれほど念願した未来の祖国、人民の国家、やがて社会主義・共産主義社会が建設されるその日の祖国のために学ばなければなりません。われわれが革命家としての強い気迫と精神をもって革命的に、戦闘的に学習し訓練するならば、いかに難しい理論や技術も、短期間のうちに十分習得することができるでしょう。

    悲運にくれた祖国と人民がわれわれを待ちこがれており、緊迫した情勢がわれわれを促しています。みな共に奮起し、心を引き締めて学習し訓練することによって、祖国解放の大事を首尾よく迎えましょう!