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社会歴史的運動は人民大衆の意識的な運動である

    社会歴史的運動が人民大衆の意識的運動であるという原理は、人民大衆の意識性にもとづくチュチェの社会歴史観の重要な原理として社会歴史的運動の推進力がどこにあるかという間題に解答を与えています。

     金正日総書記は次のように述べています。

    「すべての革命運動は意識的な運動です。」

     社会歴史的運動が人民大衆の意識的運動であるということは、それが人民大衆の意識性によって推進される運動であることを意味します。人民大衆は自主性を実現する創造的活動を目的意識的に展開します。人民大衆は自主的に生きようとする要求も意識的に提起し、その実現をめざす認識活動、実践活動も意識的に展開します。人民大衆の目的意識的活動によって世界を改造し自己の運命を開拓する自主的、創造的活動が推進されます。

     では、社会歴史的運動が人民大衆の意識的運動になるのはなぜでしょう。

     それは、人民大衆が意識性を本性とする社会的存在であるためです。

     一般的に人間の活動を推進する精神的要因には、思想と知識、感情のようなさまざまなものがあるが、ここで基本は思想意識です。

     思想意識は人々の要求と利害関係を反映した意識形態です。

     例えば、自然で原子核が分裂する時、莫大なエネルギーが出ることは原子の運動法則であるが、この運動法則を利用するにおいては階級によって要求と利害関係がそれぞれ異なります。人民大衆は原子の核エネルギーを平和的建設に利用するところに利害関係をもち、反動的な支配階級、搾取階級はそれを侵略と戦争に利用するところに利害関係をもちます。原子核の分裂する時、莫大なエネルギーが出ることを反映したのは知識であり、その利用にたいする要求と利害関係を反映したのは思想意識であります。

     社会の現象を見ても資本主義が減び、社会主義が勝利するのは、社会の発展法則の-つです。しかし、この法則にいかに対応するかで、勤労人民大衆と搾取階級は利害関係が違うのであります。勤労人民大衆はこの法則の実現に利害関係をもつが、搾取階級はそうでありません。資本主義の滅亡と社会主義の必然性を反映したのは知識であり、その実現にたいする要求と利害関係を反映したのは思想意識であります。

     思想意識はこのように、人々の要求と利害関係を反映した意識の-つの形態であるだけに、人間の活動においてもっとも積極的な作用をします。それは人間がすべての活動を自己の要求と利害関係から出発し、それに即しておこなうためであります。

     思想意識は人間を、世界を改造する闘争にたちあがらせる推進力であります。思想意識によって人々の精神的、肉体的力が発揚され、その威力が規定されます。自主的な社会的存在としての人間の本性的要求を反映した思想意識は、自主的な思想意識です。自主的な思想意識は、一言で自己の運命の主人としての自覚であり、自己の運命を自ら切り開いていく意志であります。人間は自主的な思想意識をもってこそ、世界を積極的に改造し自己の運命を立派に切り開いていくことができます。

     人間がいかに貴重で有力な存在になるか、社会発展にいかに貢献するかを決定するのは、その人の持っている金や財産、職業や知識ではなく、思想意識です。人々は自主的な思想意識でしっかりと武装してこそ、一身の富貴と享楽ではなく、人民大衆の自主性をめざす闘争に生きがいと幸せを求め、祖国と人民、党と革命のために自分のすべてをささげてたたかうことができます。

     人間の活動において、客観世界の合法則性を反映した知識も重要な役割を果たします。人間は科学知識をもってこそ、客観的法則に即して自分自身の力と客観的条件を合理的に利用し世界を成功裏に改造していくことができます。

     科学技術知識は社会経済発展においてますます大きな役割を果たしています。しかし、科学技術知識は自主的な思想意識と結合される時にのみ、人間の真の創造力をなし、社会歴史的運動を前進させる推進力になります。たとえ、高い科学技術知識をもっているとしても、思想的に立ち後れ道徳的に堕落すれば、そのような人間は社会的人間として何の価値もない精神的な障害者になってしまいます。

     人間は自主的な思想意識をもってこそ、祖国と人民に奉仕する崇高な理想と強靭な意志をもつばかりでなく、多方面的で豊富な知識を身につけ、革命と建設に積極的に貢献することができます。また、自主的な思想意識をもつ人間であってこそ、革命と建設において自分の知識と技術、知恵と才能を残らず発揮し、学んだ知識を正しく活用し、自分の創造的能力を高く発揚することができます。

     人々の活動において、周囲世界を情緒的に反映した感情も重要な作用をします。

     人間は、美しくて人間らしいものを熱烈に愛し、醜悪で非人間的なものを限りなく憎しみ、増悪し、多情多感で豊富な人間味を身につけてこそ、人民大衆の自主偉業のために勇敢にたたかうことができます。

     ところが、人間の内面世界においてこのように重要な側面の-つになる感情も思想意識に依存します。人々における感情は、いつも現実にたいする立場と態度をあらわす思想意識にもとづいて生まれ、思想的立場によって感情はそれぞれ異なる色合いを帯びて表れます。人々が-つの事件と現象からそれぞれ異なる感情をもつようになるのは、その基礎となる思想意識における差異と関連しています。また、感情は思想意識と結合されてこそ目的志向性があり、さらに鋭くて確固たるもの、生活と闘争において大きな力になります。

     このように思想意識は、人間の活動に影響を及ぼす他の意識形態の作用を規制する基本要囲となります。

     社会歴史的運動は結局、思想意識を基本推進力として起こり、前進する意識的な運動になります。ここに社会歴史的運動を人民大衆の意識的運動という本質的意味があります。

     社会歴史的運動が人民大衆の意識的運動であるということは、決して観念論と因縁がありません。

     観念論では、意識を物質から分離して独立的主体につくり、それによって世界の万物が創造され、その変化発展が規定されるととらえています。観念論はいかなる精神的実体としての意識と観念が先にあり、そこから世界の万物が生まれ、その過程に意識をもつ人間も出現するようになったと言っています。これは事実上、神の存在とそれによる世界の創造を哲学的に合理化することであります。

     思想意識が人々の行動を規定するうえで決定的な役割を果たすのは、人間と分離されたいかなる精神的実体ではなく、人間そのものがもっている思想意識が人間の行動を規定するうえで他の要因に比べてもっと大きな作用をすることを意味します。これをみると思想意識の役割を強調するチュチェ思想が観念論とは因縁がないことは明白です。