政治生活が社会生活において決定的意義を有する分野となるのは、それが人間の生命である社会的・政治的自主性を実現していく生活であるからである。
人間が社会的・政治的自主性を実現することができなければ、いくら物質的に裕福な生活を享受するとしても社会的存在としての尊厳と価値をもって生きることができず、社会的人間としての権利と義務も自由に行使することができない。
人間は自己の生命である社会的・政治的自主性を実現していく政治生活の規制下でのみ経済生活と文化生活を社会的人間の本性的要求に即しておこなうことができる。
社会的存在である人間が自分の社会的・政治的自主性を実現していく政治生活を行わなければ、いくら生産力が発展して裕福な物質生活を営むとしても社会生活のすべての分野で社会的人間としての尊厳をもって生活すると言えないのである。